篝火花 / Kagaribibana
EP「僕が死のうとした夜に」収録曲
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桜は燃ゆる晩春に消えた
こんな毎日苦しくて
息も絶え絶え 空蝉とやらに自分自身を見るように
終わりを酷く美しく思う
こんな日々が馬鹿らしくて
夢も散り散り 撹拌されていく煮立つ思考に殺される
雨の匂いがするあの坂の上
僕の目の奥で何かが光ったのだ
なぁ、生きてるだけで良かったんだ
君は聞こえているだろうか
一瞬咲いて散る花の音がこんなに激しい短夜
いつかは消ゆる人生に憂う
意味も無いまま繰り返す
昼顔のじき花を閉じる夕、自分自身を見たようだ
終わりを望む宵待篝は驟雨に濡れて藍一色
夕焼けだけに心を奪われ 穿つ思考を焼かれていく
僕の名前を呼ぶ「救い」の声がする
完全な世界にこの身を託すように
もういっそ死ねば良かったんだ
生きてるだけで惨めだと
一瞬先の永遠にすら怖くて足が出なかった
生きてるだけで良かったんだ
僕は聞こえていただろうか
一瞬輝く閃光、その向こうに何を見たんだろう
なぁ、
「生きてるだけで良かったんだ」と今際の際に思うのか
一瞬咲いて散る火の花に美しい終わりを見たい
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2023/08/17